Love yourself and your soul will guide you.


8月に発売予定となっています、新刊の『人生を創造する自愛メソッド(仮題)』には、それぞれの立場から『自分を愛するプロセス』を語る10人のストーリーが掲載されています。

そのなかのひとつをここに紹介させていただきます。


ハス


 体験談 3 「柿の種が教えてくれた父の愛」
                                            桜木暁子



 わたしは物心ついたときから、いつも一人でした。
 
 8歳までは両親と3人暮らし。兄弟はいません。父は獣医師で獣医科病院を経営し、母はその従業員でした。父も母も朝から晩まで、夜中も休日もなく働きずくめの日々。わたしはいつも病院の奥にある小さな住居スペースで、一人ぼっちで過ごしていました。母が仕事から戻ってくるのを今か今かと待ちながら。お風呂も眠るときも1人です。
 
 体も弱く、外に出ればいじめられたり、気の強い子の言いなりにさせられたりしていたので、心許せる友達はテレビ、レコード、絵本でした。家のなかはいつも病院扉のチャイムや電話の音、怒鳴り散らす父の声が鳴り響き、喧騒のなかにありました。
 
 父はいつもイライラしていて、何でもないことで母や小さなわたし、お客さんにすら大きな怒鳴り声をあげる人でした。子ども時代に父に遊んでもらったり、楽しく和やかな会話をしたりした記憶がほとんどありません。父親というより、寝るときだけ帰ってくるおじさんという感覚しかありませんでした。
 珍しく父が家にいるときは、わたしは父の機嫌を損ねないように、小さな体を固くして緊張していなければなりませんでした。
 
 母は優しいけれど口数の少ない人で、暴君な父に何一つ逆らうことなくじっと我慢して従っていました。母の心のよりどころは宗教で、時間があるときは仏壇に向かってお経を唱えたり、当時入信していた宗教の刊行物を黙々と読んだりしていました。母の寂しさや辛さは、言葉を介さなくとも子どものわたしにも伝わってきて、若い母が幸せではないことは幼心に痛いくらい感じていました。
 
 そんな父と母の関係をみていたので、わたしは「一生結婚などしない!」「母のような人生は送らない!」と固く心に誓っていました。
 
 8歳の頃、さらなる試練の転機が訪れました。父が一等地に賃貸も兼ねたビルを建て、引っ越すことになったのです。
 
 1階は病院、2階は住居スペースで、短い廊下を隔てて父方祖母と叔父の2人も同居することになりました。父の仕事はそれまでの比ではない程忙しくなり、2階に鳴り響く病院の扉のチャイムや電話の音、インターホン、来客による喧騒、父の怒鳴り声・罵声はさらに激しくけたたましくなったのです。
 
 それにもまして辛かったのは、叔父の存在でした。叔父は人格障害と統合失調症を持った男性で、普通では思いつかないような恐ろしくて気味の悪い嫌がらせや行動を母やわたしにしてくるようになったのです。その結果、家のなかは鍵だらけ、夜はわたしも母も廊下にあるトイレや風呂にも満足に入れず、唯一頼りの男性の父は相手にもしてくれない。安心や安らぎなどとは程遠い環境でした。いつか母やわたしが叔父に乱暴されるんじゃないか、殺されるんじゃないか、いつも怯えながら我慢する日々。
 
 祖母は1日中仏壇に向かってお経を唱え続けている人でした。祖母は若い頃から威圧的な女性だったようで、「母親とは家のなかで絶対的な存在である」という強い信念を持っていました。
 
 父もまたそうした威圧的な母親のもとで愛情に飢えた寂しい子ども時代を送っていたのでしょう。突然怒り狂って祖母の部屋に怒鳴り込んだかと思えば、異常なほど祖母に気を使って萎縮する父の姿を見て、祖母のせいで父も叔父もいびつな人間になったのではないかという強い疑念を抱いていました。
 
 家族って何?こんなのは家族じゃない!ここは家庭なんかじゃない!
 本を読んでも、祖母に言われるままお経を唱え続けても答えは得られず、失望は深まるばかりでした。
 
 そして、高校生になったとき、父から「医学部か歯学部以外は学費を出さないから覚悟しておけ。医者か歯医者以外の道は認めんぞ」と告げられました。これまでさんざんわたしを放っておいて、わたしの心をずたずたにする生活を強いておきながら、今さらわたしの人生に土足で干渉してくる父が心底憎かった。父が、自分の見栄、エゴを満たす道具としてわたしの将来まで支配しようとしていることにこれまでにない腹立ちを覚えたわたしは、父に殺意を抱くようにさえなりました。とにかく毎日、父の姿が視界に入る度に巨大な嫌悪感と憎しみ、怒りがこみ上げて、どうしようもないのです。殺してやる、あいつをどうやって殺してやろうか・・・。空想のなかで父を殺すたびに、わたしの心は少しだけ平穏を取り戻す。そんなことを繰り返していました。夢のなかでも、父を殺そうとする夢はよく見ていました。
 
 そしてあるとき、本当に誰か人を殺し、心底そのことを後悔して一生を送るというとてもリアルな夢を見たのです。そこでわたしの殺意はようやく起動修正されたのです。もう二度とあんな父に頼らずにすむようにまずは自立を目指そうと。
 
 医者でも歯医者でもいいから、とにかく手に職をつければわたしはこの家から離れて自立できる。そのほうが賢明な選択だと悟ったのです。
 
 紆余曲折を経て医学部に無事合格し、6年間の苦しい勉強にも堪えたわたしは、卒業を期に県外の病院で研修医生活を送ることにしました。もう二度とあの嫌な思い出だらけの土地では暮らさない、そう固く決めていました。あの忌まわしい過去を封印して、わたしは新天地で意気揚々と生きる!と希望に満ちて地元を離れたのです。
 
 数年後、わたしは市中病院で産婦人科勤務医として忙しく働いていました。小さい頃から、人の感情や心の機微を感じ取ることが得意だったわたしは、患者さんや妊婦さんたちに人気でした。いつも孤独で人からの関心、優しさ、ぬくもりに飢えていた人生だったからこそ、病気の患者さんたちの孤独、苦しみが痛い程理解できたのです。

 日々の診療経験を通して、病気の本当の原因は肉体でなくその人の心のなかにこそある、本当の意味で「病気を治す」には薬や手術でなくその心のなかを丁寧に見てゆくしかないと感じるようになっていたわたしは、こんな医療は間違っている、わたしはこんなことがやりたいんじゃない、もっと新しくて核心的な医療を作らなければ!。自分のやっている仕事に対して日増しに募る批判の気持ちと不満、それに比例して大きくなる自分は特別な存在なんだという思いと使命感。

 感覚は益々鋭敏になり、目の前の人の感情がダイレクトに伝わってくるため、患者さんの心のケア、カウンセリングという自分独自で決めた業務が通常業務のうえに積み重なっていきます。滅私奉公、使命感の塊になって励んでいたわたしは、心も体もどんどん限界に近づいていました。

 時々こみあげる、幸せそうな妊婦さんへの嫉妬、未婚の自分に対する強い劣等感と孤独感、寂しさ、切れ目なく次々とやって来る患者さんに対する苛立ち、時間外にやってくる患者さん、妊婦さんに対する抑えきれない程の怒りと憎しみ・・・。ときにコントロール不能になって暴発してしまう自分が出てくるようになってしまったのです。それはまるで、あの父と一緒の姿でした。そして1日の仕事を終えて病院の外へ出ると、なぜか止まらない涙。
 
 他人の状態や気持ちには敏感なのに、わたしは自分自身がまったく見えなくなっていました。そしてやがてわたしの心と体は完全に「無気力感」に覆いつくされて、「燃え尽き症候群、抑うつ状態」と診断され、休職を余儀なくされてしまったのです。
 
 休職状態をしばらく続けていたところ、勤労意欲は以前のままゼロだったものの、仕事以外のことであれば体も動いてくれるようになってきたため、わたしは元気になるためにいろいろなことを始めました。
 
 スピリチュアルヒーリングを受けたり、いろんなカウンセリングを受けに行ったり、マインドセラピーのやり方を習いに行ったり、世界的に有名なヒーラーのセッションを受けに行ったり、意識をまったく変えてしまうというスピリチュアルスクールに通ってみたり、パワースポットに行ってみたり・・・。疲弊しきっている自分を叩き起こしては引きずり回すようにして、あちこちに出かけて行きました。
 
 しかしそれらによって得たものは、ほとんどがほんのつかの間の満足感だけ。その後には必ず寝込んでしまう始末。
 
 そんななか、わたしは偶然入ったカフェでクリーニングの本と出会うのです。
 
 これは!と感じたわたしはクリーニングを開始します。その結果として、これまでとは比較にならない程の変化が心のなかに起きていったのです。
 
 そして、勤務医時代に患者さんに映っていた痛みが本当はすべて自分自身の痛みであったことにも気づきました。そしてあんなに意味がわからないと困惑していた“自分を愛する”ことがようやく理解できるようになっていったのです。嬉しかった。
 
 そんな折も折り、偶然にも書店でとんとんさんの『幸せを呼ぶ自愛メソッド』に出会えたのです。ピンクと白の淡い光に包まれたその本を、早速自宅で一気に読みました。家族との葛藤を乗り越えていく体験の数々に、涙が止まりませんでした。この本はわたしのために、ここに現れてくれたのだと感じました。夜中にとんとんさんのHPを見てみるとなんと『エグゼクティブセミナー』がわたしの忌み嫌ってきたあの地元で初開催されるとあるではないですか!わたしは迷うことなく申し込みました。
 
 とんとんさんは気さくで若々しいおじさまで、なんだか少年のように自由な人に見えました。どんなに過酷な人生でも人はそれを越えて悠々と生きていくことができる、そんな生き証人に出会えたことで、わたしはさらに勇気をもらいました。
 
 そして、誰にも見せてこなかった自分のなかの闇を安心して見せ合える空間、仲間たちに恵まれたことは、どれほど幸せなことであったか。ここに来なかったら、わたしはこれまでどれほど感情を麻痺させていろんなことに堪えてきたのか、そしてどれほど記憶喪失になっていたのかにも気づけなかったと思います。一番の大きな変化は、ずっと許せなかった憎かったあの頃の父が、実はどれほどわたしを愛してくれていたのかが“感じられる”ようになったことです。
 
 それはさりげないきっかけでした。
 
 父は数年前に亡くなっています。直前に緊急入院し、そこで久しぶりに父母とわたしの3人は再会しました。そこで人生最初で最後の家族3人で過ごす穏やかで幸せな家族水入らずの時間を持つことができたのです。苦しいはずなのに、わたしと母に囲まれた父の顔はそれまで見たこともないような安心して穏やかな表情でした。そしてその翌日に父は静かに亡くなりました。
 
 わたしは『エグゼクティブセミナー』から帰宅する途中で、ふと父が好物だった「柿の種」を買いたくなり、早速持ち帰って小皿に盛って「お父さんありがとうね、愛しています」と仏前にお供えしました。
 
 そしてわたしはうっかりそれを片付け忘れたまま翌日午後まで放置してしまいました。湿気ってしまった柿の種を見たとき、ふと生前の父がこの状況を見たら「片付け忘れるなんて、俺なんかどうでもいいと思ってる証拠だ!お前はどうせ俺のことなんか嫌いで早く死ねばいいとでも思ってるんだろう!」ときっと憤慨したに違いないと思いました。不遇な環境のなかで愛に飢えて育った父は、いつもそういう些細な行動や言葉に敏感に反応する人でした。
 
 「お父さん、そんなわけないでしょう。ただ単純に忘れてた、それだけのことなんだよ。お父さんを愛してないから忘れてたわけじゃないんだよ」
 
 あの頃の父が目の前にいる気がして、わたしはついそう呟きました。呟きながら、うっかり柿の種の片付け忘れたときもわたしはちゃんと父を愛していたし、どんなことをしているときも父を忘れているときでさえも、わたしのなかの父への愛は揺らがないという真実に気づいたのです。そう気づいた瞬間、わたしはハッとして涙が止まらなくなりました。
 
 父も、同じだったんだ、と気づいたからです。
 
 小さなわたしには、愛や優しさとはまるで解離して見えた彼の行動、言葉の数々。
 けれど、愛の薄い環境で何とか生き抜いてきた父は、あの行動、言動で生きるしかすべを知らなかっただけで、それが彼の精一杯だったんだと。
 
 わたしは父に愛されていないときなどなかった。
 どこにいても、何をしていても、父はいつも変わらずわたしを愛してくれていたんだと。
 
 それがようやく全身で自分という存在全体で実感できた瞬間、わたしのなかから父に愛されなかったという大きなコンプレックスが消えていきました。
 
 いつも父の行動や言葉を見ては傷つき、わたしは愛されていない、必要とされていない、存在を受け入れられていないと感じてきた小さな痛みだらけのわたしが、父の愛で癒され、満たされていきます。父の横暴に耐え抜いたかわいそうな母も消えていきます。そこにいるのは、父を愛している母、そばに一緒にいるという愛し方を選んだ勇敢な母です。わたしはちゃんと愛のある両親に育てられていたのです。
 
 『全て愛しかない』それは本当でした。
 
 そして、最近のわたしがもうひとつ実感し始めていること。それは『すべてが完璧で、何かを問題だと思う必要すらない』ということです。
 
 この世界に問題など何もなかった。ただ「それ」を体験したい命があって、その命の働きこそが、いろんな人、出来事を作り出しているのだと。
 
 すべての人も出来事も完璧。その視点から見える世界はとてつもなく穏やかで、そして豊かです。
 
 わたしは現在、勤務医生活を離れ、自分のオリジナルスペースを立ち上げて、女性の体や心、生活、人生を応援する仕事をしています。
 
 誰にも気兼ねなく自由に自在に、自分の個性、命を表現できる喜びを味わっています。わたしの仕事を見て、ついに天職を見つけたねと言う人もいますが、わたしにとってそれすらどうでもよいこと。どんなときも自分の感じていること、望んでいることに耳を傾けながら、それに素直になって自由自在に生きることこそがわたしの生きる根本です。
 
 これからも自分の命が望むままに自由に生きていくと思います。そしてこれからも、過去に置き忘れてきてしまった小さなわたしと彼女が抱えてきた痛みのひとつひとつを丁寧に拾い上げながら、過去の体験の「種明かしゲーム」を楽しみたいと思うのです。


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2013.06.03 / Top↑
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